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第二回刀剣美術論文賞 発表

2お知らせ

2018年07月11日

刀剣等の研究奨励を目的とした「刀剣美術論文賞」は第二回を迎え、
今回は平成28年4月号から平成30年3月号までに掲載された論文が対象となりました。
3月号発刊後に推薦委員からの推薦を受け、5月8日に開催の選考委員会において次の通り決定いたしました。
宇佐美こすも氏
「贈答太刀の拵からみる義教期公武関係
    ─黒漆太刀と平鞘太刀の使い分けを中心に」

本論文は刀剣美術(平成30年2月号)に掲載されたものです。
今回の受賞が、宇佐美こすも氏の更なる日本刀研究の成果へと繫がることを期待するものです。
なお、宇佐美氏には賞状及び賞金が贈られました。

受賞に寄せて        宇佐美 こすも

日本刀の研究を志して以来、何かとお力添えをいただいてきた日本美術刀剣保存協会から思いがけず受賞のお知らせをいただき、大変うれしく、同時に身の引き締まる思いです。
今回発表させていただいた文章は、室町時代の支配者階層にとって日本刀がどのような価値を持つものだったのかを、当時の日記に頻出する拵の記載をもとにあきらかにしたものです。室町時代の拵に関する研究は管見の限り量が少なく、現存品もまた少ないようです。しかし、公家日記や絵巻物といった文書群には手がかりが豊富に残されていました。
そのような状況を見て、文献史学の訓練をうけてきた身として日本刀研究に新たなことを提案できるのではないかと、一篇にまとめたのが
きっかけです。
そもそも私が日本刀研究をはじめたのは、卒業論文のテーマを考えはじめた大学三年生の春でした。指導教授のすすめもあり、卒論では絵巻物や有職故実書、公家・武家日記に登場する日本刀関連記事の分析を通して、当時の人々が日本刀とどのように接していたか考察しました。修士課程・博士課程では主に日記に登場する日本刀の分析をテーマとしました。具体的には、日記中の日本刀贈答の記事や儀式で佩用した拵の記載を片端から集め、規則性や共通点を見つけ出し、そこから彼らの日常生活における日本刀の意義や価値を示そうと試みました。
今回発表させていただいたものは日記でも特に公家日記に基づいているものの、内容は公家・武家それぞれの文化が交わる儀礼を主に扱いました。
実は公武関係論は近年盛んに研究が進んでいる分野です。
今回拙いながらも論をあらわした動機のひとつとして、日本刀はそのような最前線の議論にも有益な視点を提供できる、実はすごい題材なのだということを、広く知ってもらいたいという野望がありました。一筋縄では語れない日本刀ですから、そこから見た日本史はきっと既成概念の枠を超えた面白いものになる…そう信じています。
大学に専門家がいない中、研究を続けられているのは、ひとえに日本美術刀剣保存協会の皆さまのご支援のおかげで、感謝の言葉もございません。
ご多忙の中、突然の質問にいつも快く応じてくださる宮島進様・武田耕太郎様・小菅太一様・釘屋奈都子様、何より本協会を紹介してくださった上学部時代から一貫して貴重なご指導ご助言をくださっている黒滝哲哉様。
日本刀はまだ文献史学ではマイナーで理解されないことも多いのですが、皆様のおかげで研究を継続できています。
また拙稿発表時にサポートしてくださった編集部の皆様、貴重なご意見ご感想を寄せてくださった会員の皆様におかれましても、心より御礼申し上げます。
気づけば身の回りに刀剣ファンが増えて嬉しいこと限りない今日この頃です。私が研究を始めた頃は代々木の刀剣博物館に来る女子大生はほぼ居なかったと記憶しています。
これからますます日本刀が色々な方に愛されて、新たな魅力が発見され続けることを祈ってやみません。