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お知らせ

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お知らせ(一覧・詳細)

平成29年度美術刀剣製作技術保存研修会
刀剣研磨・外装技術研修会ならびに鍛冶研ぎ研修会開催報告

5研修・コンクール

2017年10月10日

 

刀剣研磨・外装技術研修会ならびに鍛冶研ぎ研修会の受講生は以下の参加者を迎え、本年もつつがなく開催されました。

研磨の部(31名)

 ◎特別研修生(7名)
 京都府  赤川 裕実
 東京都  林  義仁
 青森県  細越 敬喜
 岐阜県  吉田 政也
 千葉県  和田 祥一
 英 国  L.R.スチュワート
 ロシア  セルゲイ・セメンチェク
 ○研修生(5名)
 鳥取県  柏木  良
 山形県  佐藤 秀明
 群馬県  細村 正勝
 福岡県  諸富  剛
 茨城県  村上 一郎
 ◇聴講生(19名)
 東京都  磯田 一徳
 長野県  岩村 茂孝
 群馬県  柿沼 進一
 栃木県  上條  徹
 三重県  黒田 充弘
 東京都  神  早紀
 岐阜県  鈴木  勇
 東京都  多田 芳徳
 千葉県  田中賢治郎
 茨城県  中根利兵衛
 青森県  二唐奈夫樹
 埼玉県  渕江 錦治
 東京都  辺見 瑠美
 神奈川県 法城寺澄鐵
 岡山県  真木 堂智
 宮城県  三浦 弘貴
 熊本県  山下 千穂
 富山県  要堺 市郎
 兵庫県  米倉 晴義

鍛冶研ぎの部(4名)

 ◎特別研修生(2名)
 東京都  石丸 栄太
 大阪府  水野  淳
 ○研修生(1名)
 奈良県  金田 達吉
 ◇聴講生(1名)
 埼玉県  山口 秀雄
 白鞘・刀装の部(10名)
 ○研修生(1名)
 福岡県  村中 寛徳
 ◇聴講生(9名)
 京都府  赤川 裕実
 神奈川県 小澤 茂範
 新潟県  北場 勝広
 宮城県  今野 利幸
 新潟県  佐久間保男
 埼玉県  高橋 信也
 神奈川県 出島 宏一
 福岡県  出口 雅也
 埼玉県  渡部  透
 
柄前の部(6名)

 ◎特別研修生(1名)
 宮崎県  奥原勁士朗
 ○研修生(1名)
 ロシア  セルゲイ・セメンチェク
 ◇聴講生(4名)
 埼玉県  小野寺尚子
 神奈川県 来嶋 弘一
 埼玉県  玉木 之子
 東京都  山本 博敏
 白銀の部(7名)
◎特別研修生(2名)
 東京都  武田 典明
 岐阜県  吉田 政也
 ◇聴講生(5名)
 京都府  上野 宏樹
 群馬県  柿沼 進一
 東京都  河内 康平
 東京都  中村 晋也
 神奈川県 法城寺澄鐵
 
講師は下記の方々をお迎えしました。
 
 研磨の部    臼木 良彦
         熊井  徹
 鍛冶研ぎの部  宮入 法廣
 白鞘・刀装の部 廣井 章久
 柄前の部    三谷 修史
   講師補助  飯山 隆司
 白銀の部    羽川 安穂
   講師補助  宮本 恒之

本研修会は、前半は「刀剣研磨鍛冶研ぎの部」、後半を「外装の部」として双方とも三日間ずつ行っています。
日程は7月24日(月)から26 日(水)までを前半として行い、27日(木)から29日(土)までを後半として、これを設定しました。本年も天候に左右されるなかで、刀剣博物館四階講堂で開催されました。
開講式は、各々の初日の午前9時30分から行われ、柴原勤専務理事が挨拶し、本研修会は公益財団法人としての重要な事業であること、また招聘した講師はその道の第一人者であり、短期集中で多くのことを学んで欲しいこと、本研修会は人の輪を広める機会ともなっていること、などが話されました。
研修会は研磨の部が「仕上げ研ぎ」、鍛冶研ぎの部が「鍛冶研ぎの基礎技法」、後半の白鞘・刀装の部では「白鞘の基礎技法及び質疑応答」、柄前の部が「刀剣の相違と柄形の成り立ち」、白銀の部が「火造・着せの基礎技法」をテーマに掲げ、各々研修に励みました。
本研修会への外国人と女性の参加はここ数年の恒例となっております。
外国人研修生と女性研修生は、非常に真摯に仕事に取り組み、全体へ大いなる励みと刺激になっており、これからの刀剣界に新たな風が吹くことは間違いありません。
本年も、社団法人日本観光通訳協会による両部門の見学会がありました。
研修会同様、外国人の刀剣への知的旺盛さはますます盛んであり、その熱意に応えるべく、通訳の方々は研修生を質問攻めにしていました。
それぞれの部門の最終日に、午後二時から閉講式が行われ、柴原専務理事による挨拶及び受講証書および修了証書授与がありました。また講師の先生方からは、なによりも研修成果をコンクールで発表することの重要さなどが講評として話されました。
この伝統ある研修会もここ代々木で行われるのは、本年で最後となります。
来年からは少数精鋭方針の下、両国で新たなスタートを切ります。参加資格もこれまで以上に厳格なものとなり、研修会はさらに厳しい場となるでしょう。
新天地での新たな研修会が来年より始まります。
講師の先生方には、ご多忙と不安定な気候のなか、大変熱心なご指導をいただきました。衷心より厚く御礼申し上げます。
なお本年度の三年間の研修修了者は以下の方々で、特別研修修了証書・研修修了証書が授与されました。

◎特別研修修了者
 研磨の部   和田 祥一
○研修修了者
 研磨の部   細村 正勝
        吉田 政也
 白銀の部   吉田 政也
 

参加感想文

「研修会に参加して」    研磨の部   柏木 良 
今年は昨年より一カ月早い7月24・25・26日に刀剣研磨の研修会が代々木の刀剣博物館で行われました。
来年からは、両国の新刀剣博物館に移るため、代々木では最後の研修会となりました。研磨の部は特別研修生7名、研修生5名、聴講生19名、全国各地から計31名の参加がありました。
今回の研修テーマは「仕上げ研ぎ」ということで、自分は刃取りを学びたいと思い、拭いをかけた状態の脇指を持参して行きました。実際に先生の刃取りの作業を見てみると、刃側の方から刃取りをされており、自分は棟側からしか刃取りをしたことがなかったので、初めて見るやり方にとても驚きました。
刃取りのスピードも速く、無駄のない作業にとても感銘を受けました。研修中に見様見真似で刃側からの刃取りを試してみましたが、全然できませんでした。まだまだ勉強が必要だと感じました。
この研修会では、他の受講生の作業を見ることできます。研ぎを学び技術向上を目指して来る人たちの作業を見られることはとても勉強になります。
研ぎについて話したり、道具を見せ合ったりして情報交換ができることは、研修会のいい所だと思いました。
二人の先生方も気軽に話していただけますし、受講生の方々もいい人ばかりで、とてもいい雰囲気のなか、三日間の研修を終えることができました。
このような貴重な勉強の場を与えてくださった日本美術刀剣保存協会、ご指導くださった臼木先生と熊井先生、全ての関係者の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。
来年からの新刀剣博物館での研修会も楽しみにしています。

「初の研修参加」       鍛冶研ぎの部   金田國真 
今回初めて日刀保技術研修会、鍛冶研ぎの部に参加させていただきました。
開講式の後、研修生全員で講堂に三十台ほどの研ぎ台の準備をし、各々仕事に取り掛かりました。初参加で勝手がわからずにいると、他の研修生の方が道具の場所などを親切に説明してくださりとても助かりました。
私は、鍛冶押しのなかでも切先の肉置きや棟の研ぎが特に苦手だったので、今回はそこを重点的に勉強させていただこうと思っていたのですが、講師の宮入法廣先生は私が持参した刀を一目見て「切先を研ぐ前に、肉が不揃いな道中の肉置きから直しなさい」とおっ
しゃり、自分では出来ていると思っていた肉置きが全然出来てないという事実に気付かされました。弟子時代からよく教えられていた〝「仕事が出来る」と「仕事が上手い」は違う〟という親方の言葉を痛感しました。
「正しい肉置きをしなければ鎬がきちんと立たずに刀が鈍に見える」と法廣先生自ら研ぎ台で実演してくださり、平地の無駄な肉の落とし方、刃先から鎬までの肉の整え方、そして丁寧な仕事をするためには、砥石の面をこまめに直さなければならないことなどを教
えていただき、今後の自分の仕事に活かせる多くのことを学ぶことが出来ました。
研修の休憩中に研磨の部の講習生の方とも色々とお話をしたのですが、自分の知らない砥石や道具を教えてくださったり、実際にお借りして使わせてくださったりと、普段なかなか仕事場から出ない自分にとっては貴重な情報交換をする場になりました。
聴講生の方々も講師の先生方を囲んで積極的に質問したり、研修生の仕事途中の刀を手に取ってじっくり見ていたりと、その熱心さに感心させられました。
三日間という短い期間ではありましたが、今回の研修で他の方の仕事を見せていただくことで改めて自分の仕事も見直すことが出来、色々な方とお話をしていい刺激にもなりました。
また機会がありましたら是非参加したいと思います。
最後に、このような有意義な研修会を開催してくださった日本美術刀剣保存協会の皆様、ご多忙の中ご指導くださった講師の先生方に心からお礼申し上げます。

 

「初めての研修会」       白鞘・刀装の部   村中寛徳 
九州の田舎から大都会の東京へ、不安と期待を抱き、第50回刀剣研磨・外装技術研修会に初めて参加させていただきました。
一日目の研修が始まり、研修会に参加されている方々全員で使う作業台など、各々の道具を用意しました。張り切っていつものように作業しようと思ったところ、運送屋さんの手違いで荷物が夕方に届くとのことでした。
そのことを講師の廣井先生に報告し、作業を拝見させていただいたところ、参加されている方々全員にとても分かり易く作業しながら説明されていて、夢中で見学させていただきました。そのなかで気付いたことがあり、それぞれ使う道具もすべて手入れされており、道具の大切さを改めて感じました。
二日目は、道具も届いており、早速作業に取りかかりました。いつもどおり作業にとりかかったところ、講師の廣井先生がご覧になって、
「こんなふうにしたら綺麗に早くなりますよ」と、丁寧に教えてくださり、私が日頃していることの無駄に気付き、とても勉強になりました。
三日目は、講師の廣井先生の作業をさせていただきました。やはり、道具が手入れされているだけあって、とても作業がはかどりました。最終日を迎え、すべてにおいて目から鱗と昔から言うように、まさにそのとおりでした。
また、講師の廣井先生の細かな説明が大変分かり易く、また来年も参加させていただきたいと思いました。
お忙しいなか、こんな素晴らしい機会をくださった公益財団法人日本美術刀剣保存協会の方々、講師の廣井章久先生、諸先輩の方々に感謝したいと思います。
 本当にありがとうございました。

「一般素人の静かな決心」       柄前の部   小野寺尚子 
代々木の刀剣博物館で開催される最後の研修会。公益文化事業の場に「刀女子」でも「歴女」でもない一般素人を受け入れていただけたこと、感謝よりもまずお詫びすべきなのではと、今も感じ続けております。なぜ今回、聴講を申し込んだのか思い返すと、
①知らぬ間に柄前の作業に取り組み始めた実姉が、会うたび自分の技術を嘆きつつ、熱っぽく語る諸先生方の「匠の技」に興味を持ったから。
②貴重なチャンスを無駄にしないためには常時準備し行動した方が吉。という発想からだと思いあたります。
私は十代の頃から日本特有の美や技術に惹かれがちで、今までにも幾度か、呼び止められた(?)と感じるほどの圧倒的美しさの「作品」に出会ったことがあります。
そこには押し付けがましさや気負った印象はないのに何故?と眺め眇めつ、知識をお持ちの方にお話を伺うと、そこには想像を超える細やかな作業、膨大な時間、貴重な材料が使われていることが常で、「なるほどそういうことか」と畏敬の念が湧き、腑に落ちるのでした。
しかし反面、私のような素人は、プロの職人の迷いも無駄もない、軽々と着々と進む作業を見ると「もしや、自分も少し技術をかじれば…」と安直な夢を見がちです。が、そこは当然、職人先生があえて言葉にされなくとも、自分が試作したその物が「直ぐに結果は出ませんよ、先ずは地道な作業経験の繰り返しです」と語りかけてきて…。
今回、姉の道具を借り、事前に拝聴した三谷先生のDVDをイメージしつつ、試行錯誤で巻いてみた柄もそうでした。先生方の匠の技による名だたる銘品、逸品という「作品」を拝見できたことは勿論のこと、より私が身の丈で刺激を受けたのは、遠方または海外から、技術習得のため毎年研修に参加されている方々、日本文化を海外に詳細に伝えるため努められている方々の真摯な「取り組み」です。
公益な文化継承の現場にあって、甚だ個人的で恐縮ですが《日本人だけど知らなかった》恥を減らすため、より真摯に学び、経験を積み重ねようと、しみじみ決心いたしました。その一環として両国の新しい刀剣博物館にも必ず伺わせていただきます。今回は、本当に貴重な機会をありがとうございました。

「研修会に参加して」       白銀の部   中村晋也 
第50回外装技術研修会は、7月26日から29日の3日間にかけて行われました。私は白銀の部へ聴講生として参加させていただきました。今年は刀剣博物館の移転の関係で例年より約一カ月早く開催され、そのせいか参加者がいつもより若干少なく思われましたが、その分、多く学べるなと思いました。
また、今回が代々木の刀剣博物館で行われる最後の研修会ということもあり、最終を飾るにふさわしく、より一層多くの技術を学ぼうと、志を新たにいたした次第です。
今回で三回目の参加ということもあり、仕上げの最終工程、特に祐乗ヤスリの作成および掛け方をご指導いただくべく、自宅でロウ付けまで済ませた物を持参しました。しかし、決め込みの工程で勢い良く叩き過ぎて区金部分がガタガタになってしまい、羽川先生から区金を足すか最初から造り直すかのどちらかしかないと言われました。トホホです。
しかし心機一転、気持ちを入れ替えて新たに造り直すことにしました。と言っても火造りは全て羽川先生がやって見せてくれて、名人の神業の神髄に触れ、只々驚嘆するばかりです。
続いて区金の作成。どうしても削り過ぎてしまい、三回目でようやく合格をいただきました。そしてロウ付け、決め込み、呑み込みの切り出しまでで、今回は時間切れとなってしまいました。
このような稚拙で見るに堪えない私の作品でも、コンクールに出品しなさいと勧めていただきまして、また新たな目標と楽しみが出来ました。
最後になりますが、このような素晴らしい学びの場を五十年の長きに渡り提供くださっている日本美術刀剣保存協会の皆様をはじめ親切にご教授くださった羽川先生と講師の皆様方、研修会の受講生の皆々様に感謝とお礼を申し上げます。
両国に移りましてもまた参加させていただきたく思いますので、来年も宜しくお願い申し上げます。

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