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第70回刀剣研磨・外装技術発表会開催
― 表彰式概要・講評・受賞のことば―

5研修・コンクール

2018年01月15日

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第70回刀剣研磨・外装技術発表会は、10月2日(月)から4日(水)まで出品を受付け、10月19日(木)に当協会講堂において、部門別に審査を行った。
審査員は「研磨の部」10名、「白鞘の部」9名、「刀装の部」10名、「柄前の部」8名、「白銀の部」8名で、厳正に審査が行われた。
出品総数は一一六点で、うち無鑑査出品は一三点、無鑑査を除く出品数は一〇三点であった。
部門別では、研磨(鎬造・平造)の部六〇点、白鞘の部一二点、刀装の部四点、柄前の部一六点、白銀の部一一点であった。
無鑑査・入賞・入選者の詳細は、『刀剣美術』12月号に掲載のとおりである。
表彰式は12月1日(金)午後1時から当協会講堂において挙行された。これに先立ち、前日の11月30日(木)午後1時から、同じく講堂において勉強会を行った。
表彰式には審査員及び酒井会長、柴原専務理事、志塚常務理事、福本常務理事ほか職員が参列し、事務局の経過報告に続いて会長から主催者挨拶があった。引き続き入賞者に対して賞状及び副賞の授与、入選者に対して入選証書の授与の後、審査員講評が行われた。
審査員講評は部門別に、研磨の部を栁川清次氏、白鞘の部を廣井章久氏、刀装の部を橋本晴雄氏、柄前の部を三谷修史氏、白銀の部を羽川安穂氏(橋本氏による代読)がそれぞれ講評された。最後に出品者を代表して、研磨の部の神山貴恵氏が答辞を述べた。
無鑑査及び入賞作品は、1月19日(金)から3月25日(日)まで、新刀剣博物館開館記念として公開展示される。
※会期中、展示替えあり

主催者挨拶  会長 酒井忠久
ただ今ご紹介いただきました酒井でございます。開会にあたり、ひとことご挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、ここ墨田区両国の地で新築成った新刀剣博物館において、第70回を数える記念すべき「刀剣・研磨外装技術発表会」表彰式の晴れの日に表彰されます皆様、本当におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
と同時に、皆様が精魂込めて作られた作品の数々を出品くださったことに対し、厚く御礼を申し上げたいと思います。
また、審査に尽力された審査員の皆様には、この場をお借りして御礼を申し上げます。
公益財団法人日本美術刀剣保存協会の定款にございますように、協会は、刀剣類における伝統技術の向上・発展、そして文化財の公開・保護、後継者の育成を謳っているわけでございますが、これを担っておられるのは、刀職の皆様方だと思います。
今日の表彰はステップとして、より一層のご研鑽をお願いできたら大変ありがたいと思うところであります。
新刀剣博物館は、平成30年1月19日に開館いたします。永年の懸案でありました念願の新刀剣博物館が、この両国の地に槇文彦先生という素晴らしい設計者のもと、機能的なデザインで出来上がりましたことを皆様と共に喜びますと同時に、今後、協会といたしましては、ここを刀剣文化発展の拠点としたいと思っておりますので、役職員一同、力を合わせ努めてまいる覚悟でございます。
皆様におかれましては、当協会の諸事業に、今後ともなお一層のご理解とご協力をお願いいたしまして、簡単ではございますが、表彰式にあたってのご挨拶といたします。
本日はおめでとうございました。
研磨の部講評    栁川清次

本日は入賞、入選された皆様、おめでとうございます。研磨の部の審査員として話をさせていただきます。
出品された人たちには、二通りの方がいます。研ぎ師として基本になる技が出来ている方とそうでない方です。
基本の技とは、刀の肉取り、線、砥石目です。古い刀を研磨する場合、肉取りと線を整えるのは制限がありますが、自然に見えるように整えてください。次に砥石目ですが、細名倉の目を残すのは最悪です。内曇砥を充分に効かせてください。細名倉の目が残っている作品があり残念でした。基本を学んでください。
入賞された方々は、基本が出来ております。基本の習得ができれば、刀の良いところと個性を引き出すのが重要です。刃縁を明るく、沸を輝かせる小手先の技巧が目立つ研磨がありました。刀がよく見えて成功したと思っておられるのでしょうが、一見よく見えても鑑識眼のある人が見れば違和感を抱くこととなります。刀の本来の味わいが見えなくなるからです。
刀の後ろで、刀のよいところを出すのが研ぎ師の仕事で、刀の前に出て研磨の技巧が目立つのはよい研磨ではありません。
審査員は、刀の後ろの研磨を見抜いて審査するようにしています。審査結果の順位は審査員の採点の平均で決まります。審査員の弟子が出品した場合は、その審査員の採点は除外されます。
また、審査員は多方面の方々がおられるので、偏った職種の評価でなく、総合的な評価といえます。研磨に正解はありません。
私の個人的な見方ですが、特賞には入りませんでしたが、忠綱、直勝、国広はとてもよい研磨だと思います。
さまざまな見方がありますので、他の研磨を見てよいところを吸収してください。一所懸命研磨して出品することは研ぎ師の技量向上に役立ちます。
来年もご出品くださいますよう希望して講評を終わります。

白鞘の部講評    廣井章久

白鞘の部の講評をいたします。では、要点を簡潔に述べさせていただきます。
今回一二点の出品がありました。優秀賞二点、努力賞二点、入選八点です。
木取り、搔き入れ、仕上げ、全体の均整等を審査しました。
優秀賞一席は、全体にまとまってよく出来ていました。優秀賞二席は入れ子鞘で、二倍三倍手間のかかる仕事をよくこなしています。
努力賞一席は古材を使い、よい感じに仕上がっていました。努力賞二席は柄の形が少し刃方の方に膨らんだ感じになっており、太い感じがします。もう少し細くするとよくなります。
入選作のなかには、よくできていますが節が出たり黒染みが出たりしたものがあり残念でした。次回もっと努力してください。
全体の印象ですが、朴材のよい木がなくなって来ている感じがします。なかなか理想的な材料はありません。
最後に、入賞された方々おめでとうございます。入選の方々は入賞の作品を参考にして、来年の出品を期待しています。

刀装の部講評    橋本晴雄

本日の表彰式に、全国各地から多数の皆さまにご出席いただき、誠にありがとうございます。
今年もまた、たいへん優れた現代の刀装作品が出品されました。刀装がほとんど実用を離れた現代では、新規の拵製作依頼も多くはないと聞いておりますが、そんな情況下で水準の高い刀装を製作し、その技術を継承発展させていくことには、たいへんなご苦労があることと拝察いたします。この発表会にご出品いただいたことは、製作者や協会を始めとする関係者皆さまの努力と研鑽の成果であるとお祝い申し上げます。
刀装の部の審査は、審査員10名による厳正な審査の結果、優秀賞は久保謙太郎さん、努力賞は伊藤俊克さん、入選は佐久間保男さんと三好正和さんでした。いずれも創作意欲と高い技術の現れた作品で、出来栄えも接近しており、審査員の諸先生方も高く評価されていました。
ここでは、受賞の順にしたがって短評を申し上げます。
優秀賞の久保謙太郎さん。この拵は「歌仙拵風写し」と出品名称にありましたが、これは肥後拵のなかでも特に人気の高い古作を念頭に置いたもので、たいへん好評でした。上手に鮫皮を巻いてその上に漆を掛け、それを研ぎ出すことはたいへん難しいので、これを製作するには高い技術が必要であるとの漆の専門家の評価がありました。また、新しい金具を使いながら、柄と鞘の下緒の釣り合いのよいことも好評でした。今後のためにいえば、鞘の肉置や栗形の形について古作を研究されると、更に一段とよくなることが期待されます。
努力賞の伊藤俊克さん。こちらも肥後拵を狙ったものと思います。篠刻鞘も上手に丁寧に作られており、この点も高く評価されました。金具には二重唐草の肥後物や金獅子目貫の時代物を使用しており、全体に茶や焦げ茶の渋い色合いの拵を引き締めて見せています。まとまりの良さが高評価に繫がったといえるでしょう。
なお、肥後拵で小柄を使わないなら一文字を入れることが約束ですから、その点を改善なさるとよいと思います。
入選の佐久間保男さん。茶色の石目塗はたいへんよくできていると好評でした。この短刀拵で最初に目を惹くのは突兵拵を想い起こさせるような鞘の形です。これは刀身に合わせた新工夫の形かもしれませんが、そうだとすれば古作にあるような拵全体の安定感や均整を考慮されるともっと見易いと思います。もし、突兵拵を狙われたなら、長い鐺金具を着けることをお勧めします。また、栗形と返り角の配置や形が江戸中期風ですから、その辺りも含めて古作を検討されるとよいでしょう。
入選の三好正和さん。現代風に柳生拵を狙った作かと拝見しました。目貫を表裏逆に巻いて、よくできた柳生風な現代鐔を架けているので、柳生拵の感じが出ています。この拵で特に目を惹くのは、たいへん手間要りで難しい鞘で、蠟色印籠刻み鞘の後部に網代着せを行っていることでしょう。一本ずつ辛抱強く網代に編み込んだ技術はたいへん高いものと評価されました。印籠刻と網代着せの部分の面積、配置、色彩的なバランスなどにもう少しスッキリ感があると更によくなると思います。また、下緒も着けると拵として見易くなるでしょう。
今後、更に技術の向上に努力されながら、古作を研究されて、更に上位を目指し、また来年も優れた作品を多数ご出品くださるようお願いいたします。
簡単ですが、これを以て講評にかえさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。

柄前の部講評    三谷修史

今回受賞されました皆様、誠におめでとうございます。
今年も昨年同様、出品数が多く、出品総数は一六点で、過去にはなかった特賞が2名も出ました。優勝賞が1名、努力賞が3名で、入選者は9名です、残念ながら落選者が1名でした。
それでは入賞者、入選者の講評させていただきます。
会長賞の「蛇腹糸網代組上巻柄前」ですが、今回久し振りに出た良い作品です。柄形、鮫着せ良く、巻き方技法、菱の大きさや均一性など、留めの技法、金具の選択と配置場所、柄形の取り方と全体の均整、全て整っているとの審査員の先生皆様の意見でした。
私からは、更なる躍進をするため、柄下地、鮫着せ、柄の搔き入れ等も研究してください。
同じく会長賞の「鉄納戸色蛇腹糸葵結び組上巻柄前」ですが、今回初めての新しい巻き方で葵結びを二回結び、淡路結び、別名慶弔結びとなり、小判形になった結びを組み上げた蛇腹巻で、蛇腹糸の一本の糸が切れても結んでいるので、解けない蛇腹糸の欠点を補った巻き方で、葵結びも各菱毎に揃って巻かれています。私からは、葵結びは結んでいますので、手溜まりが少し悪いようですので、結んだ所をソフトな巻きが出来るよう研究してください。
優秀賞の「鯨髭組上巻柄前」。ヒゲクジラ類の鯨の髭を用いて六本の髭を組上巻にし、髭の漆塗の技法、表裏の留め技法、組上巻の技法、刀装具の選択と配置場所全てが整って、非常に難度の高い巻きです。鯨髭巻は古来より高価で入手が難しく、大刀柄としては、実用的ではないか、という審査員の方からの意見がありました。
努力賞の「卯の花色蛇腹糸網代組上巻柄前」は八本の糸で四本は諸捻りで巻き、後の四本の糸は網代に中央で組んで組み上げて巻くもので、柄形、鮫着せ良く蛇腹糸が均一に、たるみなく菱も揃って巻けています。また留めも表裏とも良く出来ています。ただ網代巻は刃方、棟方の中央で網代にしますが、二本糸を隙間なく網代に組むと更に良くなると思います。
努力賞「鉄色常組糸諸撮み巻柄前」、同じく「時代黒常組糸諸撮み巻柄前」は、どちらも諸撮み巻で、柄下地、鮫着せの処理、留めの技法、菱紙の入れ具合も良く菱が揃っています。ただ金具の選択と配置場所と、上糸、下糸を撮んでクロスをする所を堅くならないよう研究してください。
次に入選を含め、全体の好評をいたしますと、今年も入賞者と入選者の技術的な差はありません。その違いは刀身から成り立つ柄形、柄下地、鮫着せ、経木の貼り方などです。出品された中に柄形、柄巻の掟を良く知らないような作品がありました。柄糸の色の選択、目貫の位置と取付方を注意していただけたらと思います。それから刀身がない柄仕立てが見受けられますが、本当の柄形は出来ません。刀身あっての柄であり柄巻ですので、注意していただきたいと思います。
どうか、次回も上位入賞者を参考にして挑戦していただきたいとお願いをし、講評といたします。

白銀の部講評     羽川安穂
入賞、入選の皆様、誠におめでとうございます。僭越ですが、白銀の部の講評をさせていただきます。
今年度の出品数は一一点となり、昨年より四点多くなりました。優秀賞二点、努力賞二点、入選七点、落選はありませんでした。作品を拝見させていただきましたが、全般的に技術の向上が見られます。優秀賞二点は地鑢が力強く掛かり、金の粉がむらなくついていました。昨年よりも今年の出来映えがよく懸命なる努力をされたと思います。ただ、家紋の彫りはこれからの課題ではないでしょうか。紋の彫りの深さと紋の仕上げを研究してください。これは審査会でも話題になりました。鎺の艶消しなども研究してください。ますます優美な作品になると思います。
努力賞二点は造り込みと色仕上げはよく出来ていました。これからの課題は肉置きと化粧鑢の掛け方です。これは多くの鎺を作って慣れることです。
何種類かの化粧鑢を掛ける稽古をすることと思います。出来上がった下地鎺に化粧鑢を掛ける前に、同じ材料に鑢を掛け手馴らしをして鎺に取り組むのもよいと思います。
入選七点は火造り、造り込みはしっかりやられています。鎺を作る時の心掛けとして、刀身との釣り合い、踏ん張り、肉置き、着せの正確さ、化粧鑢、蠟付け、茎の保護、着せの場合は酸抜き、水洗いを完全に施すことです。
今後のご活躍をお祈りいたします。
答辞 出品者代表 神山貴恵

涼風が窓から入る季節となる頃、待ち望んだ新刀剣博物館での第70回刀剣研磨・外装技術発表会が盛大に執り行われましたこと、誠に有難く存じます。
本日は、皆様方多数ご臨席を賜りました上に丁重なお言葉を頂戴しまして心より御礼申し上げます。また、関係各位の皆様のご祝辞の数々と温かい御指導に対して重ねて御礼申し上げます。
ご指名により、出品者を代表いたしましてご挨拶させていただきます。
日本刀は、古来より日本人の魂として護り続けられてきました。そして、その日本刀を先人刀職者達は高度な技術と崇高な精神を以て伝承し続け、また多くの愛刀家をも育まれてきました。
昨今では、刀剣女子と呼ばれる女性の間で刀剣が話題となり、少し前では想像も出来なかったほどの社会現象が起きています。
この現い在ま、新しい流れを感じつつ、間もなく世界中から観光客が訪れる東京オリンピック開催に向けて、そして未来に向かって、私たち刀職者は古き良きもの、新たに吹く風を受けとめて、国内、そして世界に誇れる文化遺産である日本刀の保存と発展のため全力を尽くす所存でございます。
諸先生方をはじめ諸先輩の方々には、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
誠に簡単ではございますが、これをもちまして答辞といたします。
                   平成二十九年十二月一日

受賞のことば

小さなことから
 コツコツと
         研磨の部 神山貴恵

この度は大変栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
移転後初の「刀剣研磨・外装技術発表会」に臨むにあたり、自分のなかでとても神経質になっておりました。
そんな時、師匠より
「未知なる環境においても、刀が持つ美しさを最大限に引き出すことが研ぎ屋なのでは?」
というお言葉を頂戴いたしました。
と同時に、以前に本誌『刀剣美術』において掲載された女子中学生の論文。
その最後の何とも印象的な一文が、ふっと思い起こされました。
それは〝刀剣は日本の歴史ともっとも深い関係を持ち、一家一族の興亡、悲喜こもごもの出来事が一振の刀に秘められていることがあることが分かった〟
小さなことでくよくよ悩んでいた自分が、馬鹿らしく思えてきたのです。
感動しました!嬉しかったですね。自分よりもずっと若い方でしたので。
そこから一筋に向き合う決意が出来ました。 気付かせてくださり、本当に有難うございます。
「刀」は複数の職人の技を集結した総合美術です。どれ一つ欠けてしまっても「刀」ではなくなってしまうのです。人間の生涯はせいぜい百年前後ですが、「刀」の寿命は遙かに永いことは既成事実です。
〝刀を研ぐこと〟
それは、新しい命を吹き込み、次へ繫げることが出来る橋渡しをする重要な役目であるのだと、この度の発表会におきまして、お恥ずかしながら気付くことが出来ました。
〝いつか、誰かにバトンを渡すことが出来るであろうか?違う。そのために自分を磨いていきたい〟
人生のマラソンはこの先、まだまだ続きます。私たち刀職者の母体である公益財団法人日本美術刀剣保存協会。
流派の垣根を越えて、今後も交流と技術発展に努めていく所存です。  (木屋賞受賞)


柄巻師として

         柄前の部 久保謙太郎

この度は「日本美術刀剣保存協会会長賞」の評価をいただきまして誠にありがとうございます。
最初に封筒を開けた時は、印刷間違えではないかと思ったくらい驚いて、何度も何度も見直し、日にちが経つにつれてお祝いのご連絡をいただくことがあり、実感がわいてきました。まずは仕事を認めていただけたこと、心より感謝申し上げます。
師匠である父と同じ十八歳から刀装の世界に飛び込みました。
初めの頃は右も左も分からない状態で、ひたすらに仕事をする日々のなか、隣で柄を巻く父の姿を見て、柄巻師はそんなに難しいことはないだろうと、巻く姿を見れば見るだけ簡単じゃないかと思っていました。
そんなある日に「これを巻いて」と言われ、柄を巻きました。一段巻き確認をとり、許可を得てひとつの柄を巻き上げました。お察しの通り、完璧な柄巻きを巻くことはできず、菱のゆがみ、糸目のゆがみ、糸のゆるみ、和紙を入れた時のムラ、特に「留」と言われる最後の処理が難しくとても難義しました。
見えないところを如何に丁寧にするか、仕事をしていくにつれ柄巻師の奥深さを痛感させられ、それが仕事に対する目標になっていた気がします。
ある研師の方に、「師匠の技を完璧にこなせるようになってから自分の仕事をしなさい」焦る必要はないと。けれど師匠の技もろくにできずに自分の仕事をすることはだめであるとの教えをいただきました。
何気ない会話のひとつでしたが、この言葉が迷っていた自分の心をひとつにしたと思います。この場をお借りしましてお礼申し上げます。あの時は本当にありがとうございました。
今回の賞は刀剣愛好家、お仕事をくださる方々はじめ、髪の毛一本の隙間もダメ、気にいらない仕上がりになるとやり直し、本当に妥協を許さない厳しい父の指導があるからこそいただけた賞ではないかと思います。
江戸時代の柄巻師に勝る仕事ができるよう、さまざまなことを学んでいきたいと思っておりますので、今後ともご指導の程よろしくお願いいたします。

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